キャーって言えない数打あたる(00:00:00 - 00:00:58) - 絶叫マシンの話をしていたら思ってもない所でリスナーに叡智を見出され困惑する数打あたる

キャーって言えない数打あたる(00:00:00 - 00:00:58)
絶叫マシンの話をしていたら思ってもない所でリスナーに叡智を見出され困惑する数打あたる

処刑台に赴くような気持ちで、アトラクションの座席に座る。
 いつも自信ありげで頼もしく、大きく見えるほどの彼女の体も、今は隣の座席に小さく収まっている。どうやら彼女も、絶叫マシンの類は得意ではないらしい。
 思えば饒舌だった彼女も、待機列が短くなるごとに口数が減り、今ではむっつりと黙り込んでいる。...
処刑台に赴くような気持ちで、アトラクションの座席に座る。
 いつも自信ありげで頼もしく、大きく見えるほどの彼女の体も、今は隣の座席に小さく収まっている。どうやら彼女も、絶叫マシンの類は得意ではないらしい。
 思えば饒舌だった彼女も、待機列が短くなるごとに口数が減り、今ではむっつりと黙り込んでいる。年端もいかない少女に絶叫マシンの克服に付き合ってもらっている私が言えた義理ではないが…。
 据わりの悪いペラペラのクッションの上で腰をずらしながら、今から起こることを想像する。入場する前に見た60mほどもある建物。その一番上まで上り、そして落下する。すこし考えるだけでくらりと眩暈がし背中を怖気がはしる。私はシートベルトをしっかりと締め、背筋を伸ばしてできるだけ深く座り、足の裏を力の限り床に押し付けた。

 やがて動員が終わり、照明が落ちる。ゆっくりと座席が上昇し、恐ろしげな声が恐怖心を煽る。体が上昇していることを感じる度、尾てい骨から頭に向かって氷の針で貫かれるような感覚に陥る。掴まるものを探した手が宙を切り、自分が今まで乗った絶叫マシンがいかに易しかったか思い知った。痛いほどに体を締め付け、手が白くなるまで握ったセーフティバーを、どれだけ心の拠り所にしていたか…。仕方なくシートベルトを掴むと、そのあまりの頼りなさに喉の奥が締まり、目尻には涙が浮かんだ。

「手」
 突然聞こえた声に隣を見ると、彼女が手のひらを上に向けこちらに差し出していた。
「握っててあげる」
 虚空を見つめながら顔を引き攣らせ、震えたその声は、彼女自身の不安からか、私への気遣いから出たのか分からなかった。しかしそんなことはどうでもいい。私は一も二も無くその手に掴まり、詰まりかけの息をかきわけて、小さくありがとうとつぶやいた。
 小さく、震えた手だったが、それは私にとっての蜘蛛の糸だった。どちらがかいたにせよそれは手汗で酷く濡れていて、滑らないように痛いほど握らなければならなかった。

 そうしているうちに、鎖を巻き上げる音が止み、最上部にたどり着いたことが分かった。そこにはテーマパークが一望できる窓が設けられ、いつの間にか足が竦むほどの高さにいることを印象付けさせた。外を眺めながら、手の中の彼女の感覚を確かめる。少しの間の後、内臓が浮き上がり、落下が始まる――

 事は無かった。座席は数mほど下に滑ると、そこで止まった。何が起こったかわからず、体から力が抜けると、未だ力が入ったままの彼女の手から私の手がぬるりと滑り落ちた。
 あっ、と思うと同時に、脊髄を頭上に置いていくような感覚を味わう。命綱を取り落としたまま、正真正銘の落下が始まる。

―――

 茫然自失といった様子で、テーマパークの浮ついた空気の中を二人歩く。
 アトラクションの内容は、全く覚えていない。互いに頼りとしていたものを直前で取り落とし、一瞬とも永劫とも思える落下の間中完全にパニックになっていた。はっきりと記憶しているのは、汗でびしょびしょになり腰を抜かしているところを、キャストさんの手を借りて立たせてもらったところからだ。
 その後順路を抜け、その勢いのまま当てどなく歩いている。どこに行こうとか、あそこで休もうとか、そういうことを提案する気力はもうどちらにも残っていなかった。
 ふと、向かいから来る人と彼女がぶつかりそうになっていることに気付き、慌てて手を引いた。
 時計を見ると、もう昼時をすこし過ぎている。休憩を兼ねてどこかで昼食を取ることを提案しようと、彼女の方を見た。
 そこで私は、自分の手が彼女の手と指を絡ませ、深く繋がっている―所謂恋人繋ぎ―ことに気付いた。一体いつから?アトラクションの頂上までは、互いに握り締めるだけだった。なら、落下の間のどこかで、この形につなぎ直してしまったのだろう。それから、いつまで?考えるまでもない。キャストの人に助け起こしてもらい、出口を通り、ふらふらとここまで歩いてきて、今もなお、しっかりと繋いでいる。
 いつの間にか、二人で立ち止まって繋いだ手を見ている。そして、どちらともなく手を離した。アトラクションに乗っているときのように、バクバクと心臓が鳴っている。手に残った彼女の温もりを確かめるように手を握ると、お互いの手汗でぐっしょりと濡れ、ぬめっていた。
 それからしばらくの間、お互い黙りこみ、どこに行くでもなく歩き続けた。

0:00 キャーって言えない数打あたる
0:58 絶叫マシンの話
2:20 サムネ

元配信↓
https://www.youtube.com/watch?v=jEApaidcFJU

数打あたるちゃんのチャンネル登録・高評価よろしくお願いします。↓
@ataru_kazuuchi
X:
Twitch:https://www.twitch.tv/ataru_kazuuchi

数打あたるちゃんのチャンネル登録、高評価がお済の方は、この動画にもぜひお願いします!

#数打あたる
#深層組
#深層組切り抜き

#深層組 #深層組切り抜き #数打あたる #かわいい #Vtuber #切り抜き

数打あたる

👉 数打あたルーレット(切り抜き動画) 

📋 配信 #数打あたる生配信 | ファンアート #あたる絵 | ファンネーム あたる屋 🐹🥽

※本サイトに掲載されているチャンネル情報や動画情報はYouTube公式のAPIを使って取得・表示しています。動画はYouTube公式の動画プレイヤーで再生されるため、再生数・収益などはすべて元動画に還元されます。

Timetable

動画タイムテーブル

タイムテーブルが見つかりませんでした。